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そもそも遺言書とは?

遺言書

 

故人の最後のメッセージ

「遺言」とは、遺言者の遺志を実現するために遺す遺言者の最期のメッセージです。遺言者の死後、タンスの中から封筒に入った遺言書が見つかった…こんな場面は、遺言書を実際に見たことがない人でも容易に思い浮かべることができるでしょう。近年ではテレビドラマなどの影響もあり、遺言書の存在を知っている方も随分と多くなりました。そんな遺言書にも様々な種類があることをご存知でしょうか?

 

遺言の「カタチ」は遺言の数だけあり、1件ごとに遺言者の遺志も異なります。そこで、状況に即した適切な種類の遺言書を用いることにより、遺言者の遺志が実現しやすくなるだけでなく、泥沼の遺産相続トラブルを回避することができます。それでは、様々な種類の遺言書について見ていきましょう!

 

 

遺言書を使ってできること

遺言書に記載することによって、自身の遺産を自分の好きな相手に譲り渡す ことができます。 遺言書がない場合には、法律上定められた法定相続人が遺産を取得することになっており、具体的に取得する遺産の額についても法律に定められています。例えば、故人に子どもと配偶者がいる場合、子と配偶者がそれぞれ1/2ずつ遺産を相続することが法律で決まっているのです。

 

 

しかし、この法律の規定通りに相続させたくないようなケースも当然あるでしょう。 たとえば、数人いる子のうちの1人には相続させたくない、あるいは 配偶者の相続分を他の相続人よりも多くしたい というような場合です。 このような場合に、遺言書に遺産の取得割合をあらかじめ定めておくことで、その定め通りに遺産を取得させることができるようになるのです。「自分の死後の相続争いが心配だ…」 といった場合にも遺言書が有効です。遺言書があれば、後の相続争いを防止することができます。

 

 

また、遺言書は、財産の配分を決めるだけのものではありません。遺言書によって嫡出子でない子を認知したり、未成年者の後見人を指定することもできます。このように、遺言書には遺言者の遺志を実現するために様々な用途があるのです。

 

 

もっとも、遺言書は法律上一定の形式で作成しなければならない ことになっています。この形式を守らなければせっかくの遺言書が無効 になってしまうこともあるため、遺言書の作成にあたっては注意が必要です。そこで、次で一般に利用される3種類の遺言書を紹介するとともに、その作成方法についてもご説明します。

 

 

代表的な3種類の遺言書

 

遺言書には、一般的に 「自筆証書遺言」 と 「公正証書遺言」 と 「秘密証書遺言」 があります。

 

 

自分で作る「自筆証書遺言」

自筆証書遺言

ここでは、自筆証書遺言について解説していきます。

 

 

自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)とは、遺言者が、遺言の全文、「日付」、「氏名」を“自書”し、これに「押印」する方式の遺言書です。文字通り自分一人で作成することができます。

 

 

まず、“自書”とは手書きのことで、パソコン等の機器を利用した場合は無効とされます(注意!)。そして、自書かどうかは筆跡鑑定や、遺言者と遺言発見者との関係などの事情を考慮して判断されます。

 

 

次に、「日付」ですが、年月のみでなく年月日まで求められます。たとえば、「2013年12月吉日」では無効とされます。ただし、「2013年の私の誕生日」のような記載ですと日が確定できますので有効とされます。

 

 

そして、「氏名」については必ずしも遺言者の戸籍上の氏名でなくとも、通称・ペンネーム・芸名でも有効とされます。

 

 

最後に、「押印」ですが、実印でなくとも認印でよく、指印(親指やその他の指頭に朱肉をつけて押捺すること)でもよい とされます。

 

※もっとも、「花押」(戦国武将が使用していた、花のように美しく署名したもの)は「押印」と認められないとの最高裁判決(平成28年6月3日)が下されましたので、花押は使用しないようご注意ください。

 

 

 

自筆証書遺言のメリット

ここでは、自筆証書遺言のメリットを解説していきます。

①証人・立会人が不要

自筆証書遺言の最大のメリットは、何といっても 自分一人で完結できること にあるといえるでしょう。後述する公正証書遺言や秘密証書遺言だと、証人・立会人が必要となるため、これらの者をあらかじめ依頼し用意しておく必要があるという手間があります。証人・依頼人は公証役場で紹介してもらうこともできますが、費用がかかるというデメリットがあります。

 

 

②費用がかからない

自筆証書遺言は全て自分自身で完結させることができるため、公正証書遺言を作成する場合のような作成手数料等の費用が一切生じません

 

 

③自分の好きなときに誰にも知られずに作成でき、内容ばかりでなく存在も秘密にできる

遺言書の存在・内容を公にすることで不都合が生じるケースは多々あります。公正証書遺言や秘密証書遺言だと、証人・立会人を依頼する過程等で遺言の存在や内容が公になってしまう可能性があるというリスクがありますが、自筆証書遺言ならば、自分でこっそり作ってこっそり保管しておけば良いため、自身が亡くなるまで秘密にしておくことができる のです。

 

 

自筆証書遺言のデメリット

ここでは、自筆証書遺言のデメリットにいて解説していきます。

 

①方式や内容に不備があると無効とされたり、争いになる可能性がある

自筆証書遺言は自分一人で作成することになるため、万が一作成上ミスがあり、死亡時まで誰もチェックしないままでいると、遺言書が無効となり、せっかく作成したのに意味がなくなってしまうおそれがあります。また、作成者が法律知識に乏しい場合だと、内容にも不備が生じ、遺言者の死後記載内容を巡って争い(「遺言書のこの文言はこういう意味だ!」、「いや違う!」という争い)が生じてしまうこともあります。

 

 

②保管の方法によっては発見されないおそれや、他人によって隠匿・破棄されたり、偽造・変造されるおそれがある

遺言書を保管する場所というのは非常に悩ましいポイントです。簡単な場所に保管しておくと、遺言者の死後、相続人に(遺言書が自分に不利な内容であるため)破棄されたり、隠匿されるおそれ があります。かといって、中々発見しづらい所に隠しておくと、今度は見つけられることなく相続手続が終了してしまうおそれもあります。発見された時すでに相続から20年経ってました…では本末転倒です。

 

 

③裁判所による検認が必要

公正証書遺言以外の形式による遺言書であれば、被相続人の死亡による相続開始後に、遺言書を家庭裁判所で検認してもらわなければいけません。
検認とは、遺言書が偽造されたものでないか、遺言書が有効であるかどうかを家庭裁判所が審査する手続をいいます。この検認手続を経ず、遺言書を執行した場合、5万円以下の過料に処せられます。自筆証書遺言の場合、相続人はかかる検認手続を経るという手間を負うのです。検認には通常3~4カ月かかり、その間相続手続を進めることもできなくなるため、結構な手間になります。

プロに作ってもらう「公正証書遺言」

公正証書遺言

公正証書遺言とは?

公正証書遺言とは、公証役場で、公正証書として作成される遺言書 のことをいいます。そして公正証書とは、法律の専門家である公証人が作成する公文書のことを言います。公正証書は、普通の文書に比べ、遥かに証明力が高く、また作成した文書は公証役場に保存されるため紛失や偽造等の心配がない というメリットがあります。そのため、重要な文書は公正証書にしておけば安心でしょう。公証役場は全国各地にありますが、最寄りの公証役場がどこにあるかが分からないときは、「日本公証人連合会」に問い合わせれば教えてもらえます。

 

 

公正証書遺言の作成にあたって、まずは遺言の内容を自身で整理しておき、その上で公証人に依頼すればスムーズに作成することができます。また、公正証書遺言を作成するためには、2人以上の証人(遺言の作成に立ち会い、遺言者・公証人と共に遺言に署名・押印する者です)が必要となるため、あらかじめ証人の依頼をする必要があります。証人は、誰でも良いというものではなく、たとえば 未成年・相続人・相続人の配偶者などは証人となることができません(これらの者が遺言について強い利害関係を有しているため)。そのため、証人の依頼にあたっては注意が必要です。もっとも、証人が見つけられない場合には公証役場で紹介(有料)してもらうことも可能です。これらの準備をした上で公証人と打ち合わせを行い(打ち合わせ段階では証人の立会いは不要です)、内容がまとまれば証人・公証人・遺言者の立会いの下、公正証書遺言を作成することになります。

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公正証書遺言のメリット

ここでは公正証書遺言のメリットを解説していきます。

 

①法律の専門家である公証人の助言の下で作成できる

公証人は法律の専門家であるため、遺言書の作成にあたり、的確なアドバイスを受けることができます。自分自身で遺言書を作成する場合、法律の知識に乏しいために内容に不備が生じ、遺言書を巡る紛争が生じる危険がありますが、公正証書遺言であれば、公証人が遺言者の真意を的確に把握し、文書化してくれるため安全です。

 

 

②病気等のため自書が困難な者であっても遺言を作成することができる

自筆証書遺言であれば、全文を自身で作成しなければなりません。しかし、公正証書遺言であれば、遺言者が公証人に遺言の内容を口授すれば、公証人がこれを正確に文書化してくれるため、自筆が困難な者であっても遺言を作成することができます。遺言内容の伝達は、手話や筆談によっても可能です。また、遺言者は必ずしも公証役場へ自ら赴く必要はなく、公証人が遺言者のいる自宅や病院まで出向いてもらった上で遺言を作成することもできます。さらに、公正証書遺言であれば署名が困難な者であっても、公証人が代理で署名をすることができます。

 

 

③遺言の紛失や偽造・改ざんのおそれがない

公正証書遺言は、公正証書として公証役場で保管されます。そのため、遺言を紛失してしまったり、他の者に偽造されたり、改ざんされるおそれがありません。

 

 

④家庭裁判所での検認手続が不要

公正証書遺言以外の形式による遺言であれば、被相続人の死亡による相続開始後に、遺言書を家庭裁判所で検認してもらわなければいけません。検認とは、遺言書が偽造されたものでないか、遺言書が有効であるかどうかを家庭裁判所が審査する手続をいいます。この検認手続を経ずに遺言書を執行した場合、5万円以下の過料に処せられます。公正証書遺言であれば、法律専門家である公証人が作成に関与しているため、この検認手続を経る必要がありません。そのため、相続開始後、直ちに遺言を執行することが可能となります。

 

 

公正証書遺言のデメリット

このように、公正証書遺言には安心・安全・迅速というメリットがある一方、作成にあたって手続費用がかかるというデメリットがあります。作成手数料は、遺言の目的財産の価格によって変わります。

 

具体的には、以下のように定められています。

 

財産の価格/手数料

  • 100万円まで/5,000円
  • 200万円まで/7,000円
  • 500万円まで/11,000円
  • 1,000万円まで/17,000円
  • 3,000万円まで/23,000円
  • 5,000万円まで/29,000円
  • 1億円まで/43,000円
  • 1億円超~3億円まで/5,000万円ごとに1,3000円を加算
  • 3億円超~10億円まで/5,000万円ごとに1,1000円を加算
  • 10億円超~/5,000万円ごとに8,000円を加算

※手数料は、相続する人ごとに計算されます。
※財産の総額が1億円未満の場合、11,000円が加算されます。

 

 

たとえば、遺言で長女に2,000万円、長男に1,000万円を相続させる場合の手数料は次のようになります。

23,000円(長女分)+17,000円(長男分)+11,000円(財産総額が1億円未満であるため加算)=51,000円

 

 

非常に珍しい「秘密証書遺言」

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは?

秘密証書遺言は、遺言の「内容」を誰にも知られたくない場合に作成される遺言書です。作成にあたっては後述の通り証人・立会人が必要となるため、自筆証書遺言のように「存在」まで秘密にすることまでは保障されません。

 

 

作成にあたっては、まず遺言者が自筆または代筆もしくはパソコン等タイプ印刷による遺言証書に署名・押印し、遺言証書と同一の印で封印し、次に、公証人1人と証人2人以上の立会のもとに封書を提出し、自己の遺言である旨と、筆者の住所・氏名を申述し、最後に、公証人が証書提出の日付および遺言者の申述を封書に記載した後に、各自が署名・押印する方式の遺言です。作成された遺言書は、公正証書遺言と異なり、自身で保管することになります。

 

 

この秘密証書遺言は実務では滅多に利用されることはありませんので、皆さまがご利用される可能性があるのは自筆証書遺言と公正証書遺言の2つに限られると言ってよいでしょう。

 

 

秘密証書遺言のメリット

 ①遺言の内容を秘密にしておきながら遺言の存在を明確にできる

「内容」は秘密に、「存在」は公に、というのが秘密証書遺言の特徴です。内容は多くの人が秘密にすることを望むでしょうが、存在については明確にしておいた方が後のためになることが多いです。秘密証書遺言であれば、作成年月日が公証役場に記録されるため、その点は安心できるといえます。

 

 

②遺言内容を自書する必要がなく署名さえできれば遺言書を作成できる

自筆証書遺言と異なり、遺言をワープロや代筆により作成できるのが秘密証書遺言のメリットです。もっとも、署名自体は自筆でなければならないため注意が必要です。なお、前述の通り公正証書遺言によれば遺言書の内容も署名も自書する必要がないため、この点が秘密証書遺言の大きなメリットというほどでもないというのが正直なところです。

 

 

秘密証書遺言のデメリット

①公証人が関与するのが遺言書の封紙面だけなので、遺言書本体の方式や内容の不備で無効とされたり争いになる可能性がある。

秘密証書遺言は「存在」を明確にするだけであって、「内容」まで保証されるものでないため、自筆証書遺言の場合と同じく内容に不備があるかもしれないというリスクは消えません。

 

 

②裁判所による検認が必要

検認が必要であり、これが大きな手間になるという点も自筆証書遺言と同様です。

 

 

その他の特別な遺言書

今まで紹介した3つの遺言書は、「普通方式」の遺言書と呼ばれるものです。実はこれら以外にも、例外的な場面でなされる「特別方式」の遺言書と呼ばれる種類も存在します。例外的なものであるため、利用される場面は多くありませんが、知っておくと役に立つことがあるかもしれません。

 

 

危急時遺言とは?

特別方式の遺言の一つは、「危急時遺言」 と呼ばれるものです。危急時遺言とは、病気や事故などで遺言者に死亡の危急が迫っているときの遺言をいいます。危急時遺言は、さらに 一般危急時遺言 と 難船危急時遺言 とに分かれます。一般危急時遺言は、遺言者本人が病気や怪我により死亡の危急が迫っている場合になされるものであり、難船危急時遺言は船舶や飛行機の事故により、遺言者(及び同乗者)に死亡の危急が迫っている場合になされるものです。

 

 

遺言者に死亡の危急が迫っていることから、本人が遺言を作成する必要がなく、証人(利害関係人は証人となることができません)が本人の口述に基づいて遺言を筆記し、他の証人とともに署名をすることで成立します。証人は一般危急時遺言の場合は3人以上、難船危急時遺言の場合は2人以上必要であるとされています。まさに、緊急事態であるため、このような例外が許されているのです。

 

 

例外的な措置であるため、遺言作成後20日以内に証人又は利害関係人が家庭裁判所に遺言書を提出し、確認を経る必要があります。この確認を期限内にしなければ遺言は無効となってしまいます。

 

 

隔絶地遺言とは?

特別方式の遺言には、もう1つ「隔絶地遺言」 というものがあります。隔絶地遺言は、文字通り他者と隔絶された状態にいる者が作成する遺言です。危急時遺言が「死の危急」であるのに対し、隔絶地遺言は「隔絶」という特殊な事態にあるためにこのような特別方式が認められています。

 

 

隔絶地遺言は、さらに 一般隔絶地遺言 船舶隔絶地遺言とに分かれます。一般隔絶地遺言は伝染病隔離や刑務所服役のため隔離された者が作成するものであり、船舶隔絶地遺言は船舶(難船危急時遺言と異なり飛行機は含まれません)に乗船している者が作成する遺言をいいます。

 

 

作成にあたっては、一般隔絶地遺言であれば警察官1人と証人1人の立会い、船舶隔絶地遺言であれば船長または事務員1人と証人2人の立会いが必要です。危急時遺言の場合と異なり、家庭裁判所の確認手続は不要です(もっとも、通常の検認手続は必要です)。

 

 

この記事のまとめ

 

専門家の解説

以上のように遺言と一口にいっても様々な種類があります。特別方式を除いた3種類の形式が代表的な遺言ですが、ご覧いただいてお分かりの通り、それぞれの特徴に応じて一長一短の性格を持っています。遺言は大きな影響力を持ちうるもの(資産家の方が亡くなられた場合は特に)であるため、無効にならないようにすること、後の紛争を生じさせない内容にしておくことが何より重要です。

 

 

これらの重要性を考えれば、公正証書遺言を選択しておくことがもっとも安心だというのが、専門家の率直な意見です。

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執筆者: やさしい相続編集部