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知らないと遺産は奪われる!対処法を知っておこう(遺留分減殺請求・不当利得返還請求)

遺産は奪われてしまう

 

親族が死亡すると「相続」が発生し、被相続人の遺産は相続人が引き継ぐことになります。しかし、相続はトラブルの源です。きちんと対策しておかないと大変なことになってしまいます。

 

「うちは仲がいいからそんなことはない」

「泥沼の争いなんてみっともないことは皆しないだろう」

なんて思っていても、目の前に財産がチラつくと人間は変わってしまいます。

 

「相続争いはどこでも普通にあり得ること」だとすれば、それに備えて知識を備えておかなければいけません。知識がなく、ボーっと過ごしていた結果、他の相続人に遺産を奪われていた…なんてパターンも良くあるのです。特に遺産が多ければ、ちょっと損したという話ではすみません。泣き寝入りをしないようにするためにも、トラブルのパターンとその対処法をあらかじめ知っておきましょう。知識をしっかりとつければ、自分だけが損してしまうことはありません。

 

 

相続人全員が納得するように分けるのが必須

遺産分割協議に納得する夫婦

遺産を分ける(遺産分割)とは?

相続が始まっても、すぐさま遺産が相続人個人に移転するわけではありません。相続人が複数人いる場合、遺産はいったん複数の相続人の共同所有の状態となります。この共有状態を解消するために、遺産を分割する手続きが必要となります。

 

 

この手続きを「遺産分割」と言います。つまり、「遺産分割」とは、被相続人が亡くなったことによって発生した暫定的な共同所有状態を解消して、個々の財産について新たな持ち主を決める手続きです。遺産分割で「共有状態⇒単独所有状態」にすることによって、はじめて遺産を“自分だけの物”とすることができるのです。

 

 

 

遺産分割は相続人全員の合意が必要

 

遺産分割はどうやって行うか?これは非常に単純明快な方法です。その方法とは 「話し合い」 です。遺産分割は、相続人全員の「話し合い」によって決めるのが原則 なのです。

 

 

この遺産分割の話し合いのことを 「遺産分割協議」 といいます。この遺産分割協議で「誰」が「どの」財産を「どのくらいの」割合で相続するのかを決定します。 遺産分割協議は“相続人全員”で行わなければいけない と法律で決められています。そのため、気に入らない相手や自分に不利な相手をのけ者にして、こっそりと遺産分割協議を行うことはできません。1人でも相続人が欠けている遺産分割協議は “無効” となってしまいます。

 

 

さらに、遺産分割協議は“相続人全員の合意”がなければ有効に成立しません。「多数決で無理やり決める」ということができないのはもちろん、相続人の一人でも合意しない場合は遺産分割協議は不成立となってしまいます。 ただし、全員が「多数決で決めても良い」と合意していれば、遺産分割協議は有効に成立します。

 

 

多くの場合、遺産分割協議の際には「遺産分割協議書」が作成されます。この遺産分割協議書には相続人全員の署名・押印が必要となるため、署名・押印をしてもらうという実質的な意味でも全員の合意が必要となります。

 

 

 

遺産分割にはトラブルがつきもの

 

遺産分割で相続トラブルを抱える

遺産分割が相続人の“話し合い”でなされること、“全員の合意”が必要なことから、遺産分割にはトラブルがつきものです。目の前に財産がチラついた状態になると、人間は醜くなってしまうものというのは皆様も良く御存じのところでしょう。

遺産分割の際のトラブルとしては、具体的には以下のようなものが挙げられます。

 

  • 相続人の配偶者(配偶者親族)が口をはさんで事態がややこしくなる
  • 遺産を一部の相続人が隠す、預金を勝手に引き出す(実際にそうした場合だけでなく、そのような疑いが生じる)
  • 不動産の名義を勝手に書き換えられる
  • 「同居して介護をしたから遺産の取り分を多くすべきだ」など一部の相続人が主張し、具体的な取り分についていつまでたっても合意が成立しない

 

 

これらだけでなくトラブルは他にもいくらでもあります。特に遺産が多いと、強い利害対立を前提としたうえで話し合いをしなければならないため、そもそも穏当に協議を成立させること自体難しいことなのです(だからこそ知識をしっかり付けたうえで相続に臨まなければならないということになります)。

 

 

 

他の相続人に知らないうちに奪われるケース

奪われる遺産

 

このような利害対立のなかで相続は起こります。 そのため、ボーっとしていると遺産を勝手に奪われていたという事態もまま起こり得ます。

その中でも特に多いものが預金の無断引き出し不動産の勝手な名義変更です。

 

 

預金の無断引き出し

たとえば、夫婦の片方が死亡した場合、夫婦のもう片方が被相続人の預金を無断で引き出してしまうということがあり得ます(同居の両親が死亡した場合に子が勝手に引き出すというケースもあり得ます)。銀行は口座名義人の死亡を知ると、直ちに口座を凍結します。しかし、銀行がこれを知る前であれば簡単に引き出すことができてしまいます。遺産分割協議が成立する前に無断で預金が引き出されてしまうと、当然トラブルの種になります。

 

 

もちろん、被相続人の死亡間際の入院費用や葬儀費用など、正当な理由に基づいて預金を引き出すこともあるでしょう。しかし、そのような理由もなくこっそりと引き出してしまうことも当然あります。正当な理由のない無断での預金引き出しがあった場合、何もしなければ遺産を奪われたまま泣き寝入りとなってしまいます。

 

 

不動産の勝手な名義変更

マンション・一軒家の登記名義が死亡した被相続人のものになっている場合、相続人の共有名義にするか、もしくは遺産分割協議を経てその不動産を取得することになった者の名義に変えるのが原則です。

 

 

しかし、この登記名義を勝手に一部の相続人が変えてしまうという事態があり得ます。先に少し述べましたが、不動産の登記名義を相続人の一人の単独名義にするためには、相続人全員の署名・押印入りの遺産分割協議書が必要となります。そのため、一部の相続人が勝手に単独名義に変更するということは原則としてできないのです。

 

 

しかし、同居している場合など、他の相続人の印鑑を勝手に盗用してしまえば、遺産分割協議を偽造してしまうことは簡単にできてしまいます(もちろんこれらの行為は刑事責任の対象となります)。

 

 

そのため、知らない間に不動産の名義が勝手に書き換えられていた、ということも起こり得るのです。この場合も、「既に起こってしまったことだから」と嘆くだけで何もしなければ泣き寝入りすることになるだけです。そもそも、全員の合意に基づく遺産分割協議を成立させることなく行った名義変更は無効なのですから、これを取り戻すべく行動しなければいけません。

 

 

遺言書の通りに遺産を分けると不公平なケース

不公平な遺産分割

遺言書による遺産の分割とは?

相続が開始すると、遺産は相続人全員の共有状態になるということを先に説明しました。具体的な取得分を話し合いによって決めるのが遺産分割なのですが、この話し合いがなかなか上手くいかないからこそトラブルになるのだということも説明いたしました。

 

 

しかし、遺言書があればこのような煩雑な話し合いやトラブルを回避することができる可能性があります。「遺言」とは、被相続人の遺志を実現するために遺す、被相続人の最後の言葉です。遺言に記載することによって、自身の遺産を自分の好きな相手に相続させることができます。例えば「家は妻に相続させる」、「車は長男に相続させる」といったように、遺産分割の内容を遺言者が指定することもできるのです。

 

このような遺言による指定を「遺産分割方法の指定」といいます。遺産分割方法の指定があれば、その指定通りに遺産が分割されることになるため、相続人全員で遺産分割協議を成立させる必要がありません。したがって、遺言書で決められていれば、トラブルの元となる遺産分割協議も必要ないため、トラブルを回避することができるのです。そのため、「自分の死後、相続人同士で血みどろの争いをしないで欲しい」という願いから被相続人が生前に遺言書を作成しておくということもあります。

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遺言書でも侵せない「遺留分」

しかし、逆に遺言書があることによって別の相続トラブルが発生してしまうこともあります。遺言書は、遺言者の思いどおりに遺産を相続させることができるものです。そのため、遺言の内容がそもそも不公平であった場合には、その遺言書に従って遺産分割をすることが不公平になり、そのことでトラブルを生む可能性もあるのです。

 

 

たとえば、一部の相続人が嫌われていたために、遺言書でその相続人の取り分がゼロにされてしまった!というような場合です。遺言書がなければ、法律で定められた一定の割合の遺産を取得できたのに、遺言者の一存でそれがゼロ・あるいは極めて少額になってしまうというのはあまりにも不公平だというケースもあるでしょう。

 

 

そこで、法律上このような場合に備えて、相続人(被相続人の兄弟姉妹を除く)には「遺留分(いりゅうぶん)」というものが認められています。遺留分とは、被相続人の財産の「一定割合」を「一定範囲の相続人」に保障する制度です。たとえば、被相続人が遺言で一部の相続人に財産の殆どを渡してしまい、他の相続人の取り分がほとんどなくなってしまったとしても、遺留分の権利を有する相続人は、自らの遺留分の割合を侵害するものであれば、遺留分侵害行為として遺産のほとんどを譲り受けた者から侵害部分を取り戻すことができるのです。

この遺留分を取り戻す請求のことを「遺留分減殺請求」といいます。

 

 

後でくわしく説明しますが、この遺留分減殺請求も自らしなければ遺留分を取り戻すことができません。遺産は取られたまま泣き寝入り、ということになってしまいます。まさに無知が故に損をしてしまう、というパターンです。

 

 

ここまでのまとめ

ここまで、相続後の遺産分割という手続についての説明と、遺産分割にトラブルがつきものということの説明をさせていただきました。トラブルとなるケースは様々ですが、どれにも共通して言えることは「知識が無ければ泣き寝入り」ということです。ボーっとしていては遺産を奪われてしまうこともままあるのです。そこで、以下では対処法を説明いたしますので、ぜひこの機会に知っていただき、いざ自分が渦中に置かれた際に役立てて頂ければ幸いです。

 

 

不当利得返還請求:知らぬまに遺産を奪われた場合の対処法

遺産を横領された場合の対処法

遺産の横領は違法!

遺産分割協議があるまでは、遺産は相続人の共同所有下にあります。それにもかかわらずこの遺産を勝手に自分の物にしてしまったような行為は違法です。

 

このような行為は刑法における窃盗罪や横領罪に該当する可能性があります。もっとも、刑法では、親族間の窃盗・横領の刑罰を免除していたり、親告罪(告訴がなければ訴追できない)とされているため、刑事責任(罰金や懲役を科すこと)が問われることはほぼありません。もっとも、刑事責任を問えないとしても、民事上取られた遺産を取り戻すことは可能です。

 

 

そんな時は不当利得返還請求を!

横領した者は、その財産を保有すべき理由を欠いているため、共同相続人は横領した者に対して横領した財産を「不当利得返還請求」によって取り戻すことができます。この不当利得返還請求というのが民事上の請求ということになります。違法に取られたものを取り返せないという道理はありません。

 

 

不当利得返還請求の手順

 

請求をするといっても、すぐに裁判!というわけではありません。

まずは交渉によって解決を図ることになります。当事者同士で穏便に話し合いができればいいのですが、そうでなければ弁護士に依頼して専門家の強い交渉力に委ねるべきです。

 

この交渉において「あなたは横領した。だから遺産を返せ」と主張することになるのですが、当然相手方の反論も予想されます。たとえば「被相続人の介護費用のために遺産を処分したんだ」というようなものが考えられます。そのため、この反論に答えるためにも、「相続財産が横領された」ということを請求者側で証明しなければいけません。これは裁判においても同じです。たとえば、預金が使い込まれたというような事案であれば、預金口座の取引履歴等が証拠となりえます。

 

 

このような証拠を使って、相手方が被相続人のためでなく、自己の欲しいままに預金を消費したということまで証明する必要があるのです。当事者同士の交渉が決裂すれば、いよいよ裁判ということになります。しかし、裁判はお金も時間もかかり、請求者もそれなりの犠牲を覚悟しなければいけません。そのため、できるだけ交渉で解決できるよう、早い段階で弁護士に依頼することが望ましいといえるでしょう。

 

 

なお、仮に請求が認められたとしても、横領した者の手元に何らの財産も残っていないような場合には、残念ながら請求者の満足は得られないことになります。無い袖は振れない、ということです。

 

 

 

遺留分減殺請求とは – 遺言書の通りに遺産を分けると不公平な場合の対処法

遺留分減殺請求

 遺留分を取り戻す「遺留分減殺請求」

例え遺言で一部の相続人の取り分がほとんどなくなってしまっても、その相続人は「遺留分」の限度で遺産を取り戻すこと、すなわち「遺留分減殺請求」をすることができるということを先に少し述べました。

 

この遺留分減殺請求をすることができるのは、相続人の内、以下の者に限られます。

  • 配偶者
  • 子(代襲相続人を含む)
  • 直系尊属(父母、祖父母、曾祖父母など)

端的に言えば、法定の相続人の内、兄弟姉妹を除く者ということになります。

 

遺留分の割合は、遺留分をもつ法定相続人が本来もらえる相続分の「2分の1」になります(ただし、直系尊属“のみ”が相続人の場合には「3分の1」)。すなわち、この割合までは最低限自分の物として取り戻せることになります。逆に言えば、この割合以上の遺産を貰えるのであれば、たとえ法定相続分より少ない額の遺産しか貰えなかったとしても請求はできないということになります。注意しましょう。

 

 

遺留分減殺請求の手順

まず遺留分を侵害する遺言は 「当然には」無効にならない ことに注意しましょう。「この遺言書は私の遺留分を侵害している!だからこの遺言は無効!遺言に従った遺産分割も当然無効!」ということには直ちにならないのです。そのため、遺留分権利者が権利を行使しない限り、遺言の効力は完全に発生することになります。

 

減殺請求できるのにも関わらず、あえて減殺請求をしない場合もあります。例えば、事業を承継させるにあたって、一人の相続人に事業に必要な資産や株式を集中させることが都合が良い場合などです。「取り分かなり少ないけど、納得できるから自分はこれでいいや」と思うのであれば減殺請求しなくても構わないのです。

 

 

もし遺留分減殺請求権を行使するのであれば、裁判でなくとも単なる意思表示でOKです。つまり、口頭やメールで「遺留分を侵害する分の遺産を返せ」と言えばよいということになります。ただし、請求の日時等を事後的に証明できないと、後述する時効との関係で不利益となる場合があるため、実務的には内容証明郵便がよく用いられます。

 

 

内容証明郵便等を相手方に送って、相手方が請求に応じる姿勢であれば、後は当事者同士の話し合いにより具体的な内容を決めることになりますが、相手方が応じないのであれば家庭裁判所に家事調停を申し立てます。調停も不成立ということになれば、地方裁判所(請求金額が140万円以下の場合は簡易裁判所)に訴えを提起することになります。請求が認められれば遺産を現物で受け取ることもできますが、請求を受けた相手方の選択により、財産の価格に応じて金銭で弁償を受けることもあります。

 

 

最後に注意しなければいけないのは、遺留分減殺請求にはタイムリミットがあることです。「相続の開始および贈与または遺贈があったことを知った日から1年間以内」に行使しないと、時効にかかってしまい権利が消滅しまうのです。また、遺言の存在を知らなかったとしても、相続開始の時から10年を経過すると同様に請求する権利が消滅してしまいます。タイムリミットを過ぎてしまえば、やはり泣き寝入りということになってしまいます。ここでも、知らなければ損をするということになってしまうのです。

 

 

「この遺言書の内容には納得できない」とお思いの方は、もしかするとご自身の遺留分が侵害されているかもしれません。そのため、泣き寝入りをしないためにも、お早めに弁護士等の専門家に相談されることをおすすめします。

 

 

この記事のまとめ

 

専門家の解説

いかがでしたか?

ここでは、遺産分割がトラブルの元になりやすいこと、トラブルの具体例およびその対処法について簡単にご説明いたしました。何度も繰り返し申し上げた通り、相続関係の知識は「知らなければ損」ということが本当に多いです(法律関係であれば何事もそうですが、殊に相続についてはこれが良く当てはまるのです)。例えば、最後に述べた遺留分減殺請求については、この制度を知らないために泣き寝入り状態になっている人が本当に多いのです。相続は争う額が多いだけに、泣き寝入りしてしまっているのは非常に惜しいことであり、残念なことであります。

 

この記事を読んで知識を得た方が、いざトラブルとなった際にきちんと自己の権利を行使してくださることを願っております。

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執筆者: やさしい相続編集部