相続放棄には、3ヶ月という手続き期限があるのはご存知でしょうか?

 

もしもこの期限を過ぎてしまうと、相続放棄ができなくなってしまいます。

そこで、ここでは、相続放棄の手続きを、期限内にスムースに進めるための5つのポイントを紹介していきます。

この5つのポイントをしっかりと把握して相続放棄に臨めば、慌てることなく、期限内に手続きを行うことができることでしょう。

それでは見ていきましょう。

1.相続放棄の期限とは

絶対に守らなければならない相続放棄の期限

相続放棄は、自己のために相続が始まったことを知ってから3ヶ月以内に手続きを行わないと、選択できなくなってしまいます。

この3か月という期間を熟慮期間といいます。

第九百十五条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

相続放棄(または限定承認)を期限内に選択しなかった場合、単純承認を選択したものとみなされます

第九百二十一条
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす

 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

 

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熟慮期間が過ぎるとみなされる「単純承認」とは

単純承認とは、被相続人の権利義務を包括的に承継する方法である

単純承認とは、被相続人のすべての権利・義務を引き継ぐ相続の方法をいい、「相続する」といえば、この単純承認を指すことが多いでしょう。

しかし、言い方を変えれば、単純承認を選択すると、被相続人のプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続してしまうため、注意が必要です。

第九百二十条
相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

 

 

相続放棄の期限は必ず守る

相続放棄の期限は必ず守るようにしましょう

熟慮期間内にきちんと手続きを行えば、借金を相続せずに相続を終えることができます。

 

とはいえ、熟慮期間は、自己のために相続の開始があったことを知ってから3か月しかありません。この3か月以内に、相続財産の調査必要書類の収集家庭裁判所への申述などといった、相続放棄の手続きをすべてご自身が行うのは、相当な負担になることでしょう。

 

そこで、ここからは、熟慮期間内に相続放棄の手続きを行うために必ず知っておきたい5つのポイントを紹介していきますから、注意して読み進めてください。

それでは見ていきましょう。

 

【知っておきたい5つのポイント】

  1. 熟慮期間のスタート時点を知る
  2. 手続きの流れを予め押さえておく
  3. 事前に相続財産を調査しておく
  4. 熟慮期間の伸長を申請する
  5. 専門家に相談する

 

 

〈ポイント1〉熟慮期間のスタート時点を知る

熟慮期間の開始時点を知ることが重要

相続放棄の手続きは熟慮期間内に行わなければなりません。

そして、そのスタート時点を知ることは、同時に期限日を知ることに繋がりますから、非常に大切です。

 

それでは、熟慮期間のスタート時点は一体いつでしょうか?

 

相続の開始時点ではありません。

実は、熟慮期間がスタートするのは、

 

「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」

 

なのです。

第九百十五条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。

では、この「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」とは、具体的にはどの時点を指すのでしょうか?

 

被相続人が亡くなったことを「相続の開始があったことを知り、自分が相続人となったことを社会通念に照らして知り得たとき」と解されています。

たとえば、被相続人の死亡を明らかに知り得た状況なのに、

 

「私は知らなかった」

 

では通りません。また、

 

「法律を知らなかったから、相続人になったことに気づかなかった」

 

これも理由になりません。

あくまで、一般常識的に考えて、「知り得たとき」と解されています。

 

そのため、ご自身の熟慮期間を検討する上で、このスタート時点を調べるのには注意が必要です。

 

 

〈ポイント2〉手続きの流れをあらじめ押さえておく

相続放棄の手続きの流れを示すフローチャート

相続放棄手続きの流れをあらかじめ知っておけば、いざ相続が始まっても落ち着いて対応できます。

相続放棄手続きは、一般的に次のような流れで進んでいきます。

 

【相続放棄の手続きの流れ】

  1. 相続財産を調査する
  2. 相続放棄を選択する
  3. 必要な書類を集める
  4. 申述書に記入し、提出する
  5. 照会書・相続放棄申述受理通知書を入手する

 

このように、相続放棄手続きは非常に長い道のりですが、これらを限られた時間の中で行うのは大変なことです。

 

「自分で手続きするのは不安だ」

「手続きする時間がない」

 

とお悩みの方は、専門家にご相談されてみてはいかがでしょう。

 

【関連記事】相続放棄の手続きがわかる8つのステップ~やさしい相続マニュアル~

 

 

〈ポイント3〉事前に相続財産を調査しておく

相続の開始前に相続財産を調査しておくことも重要

相続放棄を選択するか、それとも他の相続の方法を選択するかは、多くの場合、相続財産の内容で決められます。

たとえば、相続財産のうち、現金や不動産といったプラスの財産が、借金などのマイナスの財産よりも多い場合には、単純承認を選択し、財産をそのまま相続するのが一般的です。

一方、マイナスの財産の方が、プラスの財産よりも多い場合、通常は相続放棄が選択されます。

 

 

相続開始前から調査するのが望ましい

可能であれば、被相続族人の死亡よりも前の段階で調査しておくことが望ましい

このように、相続放棄を選択するためには、相続財産の調査が前提となります。

この相続財産の調査は、相続の開始前から行うのがよいでしょう(厳密には、まだ「相続」財産ではありません)。

そうすれば、相続が始まった時点で、相続放棄をすべきか否かの判断を迅速に行うことができますし、その後の煩雑な相続放棄手続きに余裕をもって移ることができます。

九百十五条
相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

 

 

〈ポイント4〉熟慮期間の伸長を申請する

熟慮期間の延長手続き

実は、熟慮期間は、伸長できることがあります。

熟慮期間の伸長には、相続財産の調査に時間が必要であるなどの特別な事情が必要ですが、このような事情がある場合には、家庭裁判所に申し立てることにより、熟慮期間の伸長を申請することができます。

 

ただし、この熟慮期間の申請手続きは、熟慮期間内に行う必要がありますので、ご注意ください。

第九百十五条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる

 

 

〈ポイント5〉専門家に相談する

専門家に依頼すれば、お悩みを解決してくれる

専門家に相談・依頼することで、期限内に確実に相続放棄の手続きを行うことができます。弁護士や行政書士といった専門家が、相続放棄の手続きを行う上で問題となる点を見極め、迅速に解決してくれることでしょう。

 

ただし、ご注意いただきたいのは、法律知識をもつすべての専門家が相続に精通しているわけではないことです。専門家にご相談される場合は、相続の経験が豊富な専門家に依頼するようにしましょう。

 

 

この記事のまとめ

専門家の見解

いかがでしたか?

相続放棄の期限は3か月と、非常に短いものです。

相続開始直後は、ただでさえ故人の葬儀やその他の多くの手続きがあるのに、そのうえ相続放棄のための資料をそろえて、裁判所で手続きを行う・・・これは、相当な負担になることでしょう。

 

「手続きをする時間がない」

「自分で手続きをするのは不安」

 

と思われるようであれば、迷わず専門家に相談することをおすすめします。

相続放棄は、時間との戦いです。一刻も早く手続きを済ませるようにしましょう。

 

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執筆者: やさしい相続編集部