相続というと故人の遺産を引き継ぐことや相続放棄にばかり気を取られがちですが、その他にも遺族がすべき事務処理がたくさんあります。たとえばすぐに思いつきそうなものだけでも、

 

  • 銀行・証券口座の洗い出しと解約
  • 自動車の名義変更(※1)
  • 生命保険金に関する事務手続き

 

など、枚挙に暇がありません。

(※1:財産の処分や引き継ぎになる行為は、相続放棄ができなくなるおそれがあるため十分にご注意下さい。
参考記事:相続放棄の際に注意すべき6つのポイント-やさしい相続マニュアル  )

 

こうした死後の手続きには、実は守らなければならない期限があります。この期限を守らないと、

 

  • 知らないうちに借金を相続してしまい、債務者になってしまった
  • 本来は納めなくてもよかったはずの税金を納めなければならなくなった

 

など、大変な事態に陥ってしまう危険があります。この記事では、一般的に必要となるご家族の死亡後の事務手続きと相続手続きを解説していきます。しっかりと知識を身につけて準備すれば、相続の手続きで失敗することはありません。それでは見ていきましょう。

相続の開始から5日以内に行うべき手続き

5日以内に行うべき相続手続き

健康保険の資格喪失届の提出(国民健康保険を除く)

亡くなった方が会社員で健康保険に加入していた場合、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を年金事務所へ提出する必要があります。

 

資格喪失届の提出

健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届は、死亡の日から5日以内に提出する必要があります。この喪失届と一緒に、故人の健康保険証も返却します。

 

故人が勤務していた会社がその他の手続きと一緒に手続きを行うこともありますので、、まずは故人の勤務先の会社に確認してみましょう。会社ではなくご家族の方などが健康保険証を直接返却される場合には、会社が加入していた健保組合に返却することになります。

 

 

相続の開始から7日以内に行うべき手続き

7日以内に行うべき相続手続き

死亡届の提出(国内で亡くなった場合)

人が亡くなったら、市区町村役場に「死亡届」を提出する必要があります。

 

死亡届とは

「死亡届」とは人が亡くなったことを行政機関に報告するための書類です。死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村役場に提出しなければなりません。ただし海外で亡くなった場合には3か月以内に提出すればよいことになっています。

 

市区町村役場への死亡届の提出は24時間365日可能となっており、通常の窓口業務の営業時間外でも受付を行っています。営業時間外の受付は、市区町村役場の警備員の方に書類を預けることになるのが通常です。

 

この死亡届は、死亡診断書または死体検案書と一緒に提出する必要があります。

 

死亡診断書・死体検案書とは

死亡診断書とは、人が亡くなったことを証明するために通常、医師から交付される書類をいいます。一方、死体検案書とは故人が不慮の事故など、診療中の病気以外に人が亡くなったことを証明するために交付される書類をいいます。

 

死亡届は、死亡診断書(または死体検案書)と合わせて、通常1枚の用紙になっています。

 

【関連記事】〈ご家族が亡くなられたら〉死亡届の提出~火葬・埋葬許可申請の手続きのすべて

 

火葬許可申請書の提出

火葬許可申請書(かそうきょかしんせいしょ)とは火葬を許可するための申請書であり、死亡届と同時に提出する書類です。火埋葬許可申請書と死亡届に必要な事項を記入して市区町村役場に提出すると、「火葬許可証(かそうきょかしょう)」という書類が交付されます。火葬が許可されたことを証明する書類を入手しなければ、ご遺体を火葬することはできません。

 

 

相続の開始から10日以内に行うべき手続き

相続の際に死亡後10日以内に処理すべき手続き

厚生年金の受給権者の死亡届の提出

年金受給権者死亡届(ねんきんじゅきゅうけんじゃしぼうとどけ)」とは、年金を受給している方が亡くなった場合に、年金の受給を停止するために提出する書類です。この年金受給権者死亡届は、死亡日より10日以内に年金事務所または年金相談センターに提出する必要があります。

 

年金を受給していた方が亡くなれば、当然、年金を受給する権利を失います。しかし年金は国民年金受給権者死亡届を提出しない限り、支給され続ける仕組みになっています。死亡後に受け取った年金については返還する必要があります。

 

「故人の年金を不正に受け取っていた」なんてニュースを見たことある方もいらっしゃるのではないでしょうか?事件になってしまうようなケースは故意に行われてた悪質な事例ですが、わざとではなくともこの手続きを放置して年金を受け取ってしまった場合、返還する手続きが生じ面倒が増えてしまいます。

 

 

相続の開始から14日以内に行うべき手続き

相続の際に死亡後14日以内に処理すべき手続き

世帯主変更届の提出

亡くなった方が世帯主だった場合には、住民票の世帯主を変更する必要があります。この世帯主の変更手続きは全員に当てはまるものではありません。

 

世帯主の変更手続きを行う必要がある場合とは、たとえば世帯主の夫が亡くなった際、残った妻ではなく同居の息子が世帯主となるなど、次の世帯主が明白ではないケースです。

  • 残された家族が1名だけ
  • 配偶者と赤ちゃんだけ

など、次の世帯主となる方が明白な場合には世帯主の変更の届出はする必要がありません。なお世帯主以外の方が亡くなった場合には、死亡届を提出することにより自動的に住民票が変更されるようになっています。

 

児童扶養手当認定請求

児童扶養手当の申請(母子家庭・父子家庭)

配偶者が亡くなってしまい父子家庭・母子家庭になった子どもがいる場合は、児童扶養手当(じどうふようてあて)を受け取ることができます。この児童扶養手当は、受給するための要件に一定の所得制限があり、遺族年金などを受給している場合には児童扶養手当は受給できない点にご注意ください。

 

対象となる受給者は、

  • 所得制限に該当しない
  • 日本国内に住所があり
  • 18歳の誕生日の属する年度末までの子
  • 20歳未満で障害(1級・2級)のある子

を監護している父・母(または父母に代わって子を養育している方)です。

 

国民年金にかかる受給権者の死亡届の提出

国民年金にかかる受給権者の死亡届の手続きは、「厚生年金にかかる受給権者の死亡届」(死亡の日より10日以内)と基本的に同じです。国民年金に加入していた方は「死亡の日より14日以内」に「国民年金にかかる年金受給権者死亡届」を年金事務所または年金相談センターへ提出する必要があります。

 

上記の通り、厚生年金と国民年金では届出の日が異なりますのでご注意ください。なお平成23年7月以降に日本年金機構に住民票コードを登録している方は原則として死亡届の提出を省略できますので、こちらもあわせて確認してみましょう。

 

国民健康保険資格喪失届の提出

国民健康保険保険証の返還

国民健康保険に加入していた方が亡くなった場合、亡くなった日の翌日から健康保険証は使用できなくなります。ご家族の方が国民健康保険資格喪失の手続を行い、健康保険証などを返却する必要があります。

 

国民健康保険資格喪失届は自営業などの方を対象としており、「死亡の日より14日以内」に亡くなった方の住所地の市区町村役場に提出します。「死亡の日より5日以内」に年金事務所などへ提出する健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届は、会社員などの方を対象としていますので混同しないようにご注意ください。

 

この国民健康保険資格喪失届(こくみんけんこうほけんしかくそうしつとどけ)は、原則として75歳未満の方が対象であり、75歳以上および65歳~74歳で障害のある方は後期高齢者医療資格喪失届(こうきこうれいしゃいりょうしかくそうしつとどけ)を提出することになります。

 

後期高齢者医療資格喪失届の提出

後期高齢者医療資格喪失届(こうきこうれいしゃいりょうしかくそうしつとどけ)」は、後期高齢者制度の対象である75歳以上および65歳~74歳で障害のある方が、死亡の日より14日以内に亡くなった方の住所地の市区町村役場に提出する書類です。

 

※後期高齢者制度とは、対象の年齢になるとそれまで加入していた医療保険(国民健康保険・健康保険・共済保険、共済など)から自動的に切り替わり、後期高齢者医療制度の被保険者となるものです。

 

介護保険の資格喪失届

介護被保険者証の返還

亡くなった方が65歳以上、または40歳以上65歳未満で要介護認定を受けていた方であった場合には、「介護保険資格喪失届(かいごほけんしかくそうしつとどけ)」という介護保険の喪失の申請をするとともに、「介護被保険者証(かいごひほけんしゃしょう)」を死亡の日より14日以内に亡くなった方の住所地の市区町村役場に返還しなければいけません。

 

65歳以上の方(第1号被保険者)が亡くなられた場合は、介護保険料を月割りにて再計算します。未納保険料がある場合には相続人に請求することになります。保険料を多く納めていた場合には、逆に相続人へ還付されることになります。なお被保険者は年齢によって次のとおりに分類されることになります。

 

  • 第1号被保険者:65歳以上の方(または40歳~64歳で要介護認定を受けた方)
  • 第2号被保険者:40歳以上64歳以下の方

 

この第1号被保険者と第2号被保険者の違いは、サービスを受ける条件や保険料の算定、納付方法です。

 

 

相続の開始から3か月以内に行うべき手続き

3か月以内に行うべき相続手続き

 

相続放棄は3ヶ月以内に手続きを

亡くなった方の財産を相続する際、預貯金や不動産などプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続することになります。プラスマイナスを差し引いて借金が残る場合には相続したくないという判断もありえます。

 

そんな相続人には「相続放棄(そうぞくほうき)」という方法があります。相続放棄をした場合には、その効果として、相続放棄をした相続人は、はじめから相続人ではないとみなされます。

【参考記事】相続放棄について詳しく知りたい

相続放棄のすべて-やさしい相続マニュアル

相続放棄で親の借金を相続しなくていい?-やさしい相続マニュアル

 

死亡届の提出(国外で亡くなった場合)

海外旅行や海外赴任、さらには海外移住する人も珍しくない時代です。そうした中、海外で亡くなる方も出てきます。籍が日本にある状態で、海外で亡くなった場合は日本の役所に死亡届を提出する必要が出てきます。このような場合には、「死亡の事実を知った日から3か月以内」に市区町村役場に死亡届を提出します。

 

海外で家族が亡くなった場合、遺族が現地へおもむき、現地で火葬することも多くなっているようです。現地で火葬するためには現地の役所に「死亡届」と「死体火葬許可証交付申請書」を提出したうえで、「死体火葬許可証」を交付してもらいます。遺体を日本へ運ぶ場合には現地の葬儀社に遺体防腐処理をしてもらい、輸送するための棺を準備します。その際には次の書類が必要になります。

 

  • 現地の医師に交付してもらう死亡証明書
  • 日本大使館もしくは日本領事館に交付してもらう埋葬許可証
  • 現地の葬儀社に交付してもらう防腐処理証明書

 

これらの書類を航空会社などに提出し「航空荷物運送状」を発行してもらうことになります。その他の疑問・質問等は海外の日本人をサポートしてくれる大使館や領事館などに連絡してみましょう。力になってくれるはずです。

 

 

相続の開始から4か月以内に行うべき手続き

4か月以内に行うべき相続手続き

準確定申告

亡くなった方がもともと確定申告をする必要があるのに、その年の途中で亡くなってしまった場合には、(当然ですが)その方は自分で確定申告をすることはできません。そのような場合、相続人は故人の代わりに確定申告をしなければなりません。亡くなった方に代わって確定申告をする手続きを「準確定申告(じゅんかくていしんこく)」といいます。(※包括遺贈を受ける包括受遺者も対象となります)

 

そもそも確定申告とは?

2月になると「確定申告をしましょう」といった税務署の広告を見かけますよね。税金には所得税や法人税、消費税など多くの種類があります。そうした税金の中で、所得税の申告を行う前年(1月1日~12月31日)の所得を計算した申告書を税務署に提出することを「確定申告」といいます。

 

この確定申告は2月16日~3月15日に行います。しかし納税者が一般的な会社員の場合は会社が所得税の額を計算し、税を天引きし、社員に代わって所得税を納付することになっています(このことを「源泉徴収」いいます)。そのため、収入が会社からの給与だけという通常の会社員は確定申告をする必要がありません。

 

しかし確定申告をしなければならない条件に該当する高給取りや、複数の収入源がある人が確定申告をしない場合にはペナルティがあるので注意しましょう。期限日である3月15日を過ぎた場合にペナルティの対象となり、納付すべき所得税に「延滞税」や「加算税」などの追加の税金が課されることになります。

 

 

相続の開始から10か月以内に行うべき手続き

相続税の納付

相続税の申告

ご家族などが亡くなった場合には、相続税の申告書を税務署へ提出しなければなりません。期日は相続開始の翌日から「10か月以内」です。ただし相続をする方全員に申告書の提出義務があるわけではありません。まず専門家による資産の評価などを行った後、その資産にかかる課税価格を算出します。次に相続税の課税額を控除できるさまざまな税額控除を勘案し、最終的な課税価格が税額控除の金額を上回っていた場合にはじめて申告書を税務署に提出し、相続税を納める義務が生じてきます。

 

 

相続の開始から2年以内に行うべき手続き

2年以内に行うべき相続手続き

国民年金死亡一時金の請求

死亡一時金(しぼういちじきん)」とは、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったときに、その方と生計を同じくしていた遺族が受けることができるものです。

 

死亡一時金は遺族の方が請求すれば受け取ることができます。ただし死亡一時金の請求には期限があり、その請求期限日は「死亡日の翌日から2年」です。なお死亡一時金を受け取れる遺族には優先順位があります。優先順位の上の遺族がいる場合には、下位の方は死亡一時金を受け取ることができないということです。

 

順位は次のとおりです。

  • 第1位:配偶者
  • 第2位:子ども
  • 第3位:父母
  • 第4位:孫
  • 第5位:祖父母
  • 第6位:兄弟姉妹

 

国民健康保険の葬祭費の申請

亡くなった方が国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していた場合には、「葬祭費」が支給されます。葬祭費は葬儀を行った喪主などに対して支給するものであり、金額は地域や加入していた制度により異なります。忘れずに市区町村役場に申請し、窓口で確認してみましょう。

 

葬祭費の申請期限は「葬儀を行った日の翌日から2年」です。死亡の日の翌日からではないため、混同しないようにご注意ください。なお業務上や通勤災害で亡くなった場合には労災からの支給になりますので、あわせてご確認ください。

 

健康保険の埋葬料の申請

埋葬料を申請しよう

亡くなった方が会社員の場合で、健康保険に加入していた場合には、「埋葬料」が支給されます。亡くなられた方に生計を維持されていて、埋葬を行った方に定額で5万円支給されます。この埋葬料は「死亡した日の翌日から2年以内」が申請期限となります。

 

なお、埋葬料の申請の対象者である「亡くなられた方に生計を維持されていた方」がいない場合でも、実際に埋葬を行った方に「埋葬費」が支給されます。この場合の埋葬費の支給額は、埋葬料の5万円の範囲内で埋葬にかかった費用になります。たとえば霊柩車代、火葬料などが該当します。埋葬費は「埋葬を行った日の翌日から2年」が申請期限となります。埋葬料と名前が似ていますが、埋葬費は申請期限の起算日が異なりますので注意しましょう。

 

労災保険の葬祭料

労災保険の「葬祭料」は、労働者が業務上災害により亡くなった場合の葬祭を行った方に支給されます。労働者の遺族がおらず勤務先の会社が葬祭を行った場合には、その勤務先に支給されます。なお通勤災害も同様に葬祭を行った場合には支給されますが、名称が「葬祭給付」となります。この労働保険の葬祭料は「死亡の日の翌日より2年以内」に管轄の労働基準監督署へ申請する必要があります。

 

高額療養費の支給申請

高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)とは、1か月間でかかった医療費の自己負担額が高額になった場合に、一定の金額を超えた部分が払い戻される制度のことをいいます。病院によっては事前にこの手続きを済ませることもでき、高額療養費が病院に直接支払われ、自己負担分が最初から一定金額までになっている場合もあります。高額療養費制度は所得水準により金額が異なったり、さまざまな注意点がありますので事前によく確認しましょう。

 

 

相続の開始から3年以内に行うべき手続き

相続開始から3年以内にすべき手続き

生命保険の請求

生命保険の請求とは、死亡保険金や入院・手術にかかる入院・手術給付金などを請求することです。生命保険に加入していた方がなくなった場合には、生命保険を受け取ることができます。

 

保険金の受取人が指定されていればその方が請求の手続きを行い、「死亡の日より3年以内」に保険会社へ申請しなければ受け取ることができません。生命保険の受け取りには、その他にさまざまな手続が必要になります。生命保険会社の連絡先・担当者・内容などはあらかじめ確認しておきましょう。

 

相続の開始から5年以内に行うべき手続き

相続の開始から5年以内に手続きすべき事項

未支給年金の請求

年金は年6回、偶数月に前2ヶ月分がもらえることができ、死亡した月の分までもらえることができます。そのため、死亡した月まで支払われていない年金については「未支給年金請求」(みしきゅうねんきんせいきゅう)を行うことで受け取ることができます。

 

これは亡くなった方と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。未支給年金は受給権者の年金の支払日の翌日から5年以内に請求しなければ受け取ることができません。

 

国民年金遺族基礎年金の請求

国民年金遺族基礎年金(こくみんねんきんいぞくきそねんきん)とは、国民年金に加入している人が亡くなられた場合に、その方の収入で生活をしていた「子どものいる配偶者」に支給されるものです。受け取ることができる方は、亡くなった方によって生計を維持されていた18歳到達年度の末日までにある子のいる配偶者または子となります。18歳到達年度の末日までにある子が障害の状態にある場合には20歳未満までとなります。

 

国民年金遺族基礎年金はさまざま受け取るための要件がありますので、役所や年金事務所等に確認してみましょう。国民年金遺族基礎年金の請求は、「死亡の日から5年以内」に市区町村役場に請求する必要があります(年金事務所および年金相談センターの窓口にある場合もあります)。

 

国民年金寡婦年金の請求

寡婦年金(かふねんきん)とは、国民年金の第一号被保険者である夫が亡くなった場合で、かつ「まだ年金受給期間に入っていない妻が夫の年金を頼りに生活していた場合」にその夫の年金を引き続きもらうことができます。寡婦年金は「死亡の日の翌日から5年以内」に住所地の市区町村役場へ請求する必要があります。年金事務所および年金相談センターの窓口にある場合がありますので確認してみましょう。

 

遺族厚生年金の請求

遺族厚生年金(いぞくこうせいねんきん)とは、主に会社勤めをしている方を対象に厚生年金に加入している方が亡くなった場合に、その亡くなった方の収入で生活をしていた子どものいる配偶者に支給されるものです。遺族厚生年金の請求は「死亡の日の翌日より5年以内」に年金事務所または年金相談センターへ行う必要があります。

 

労災保険の遺族補償給付の請求

労働保険遺族補償給付(ろうどうほけんいぞくほしょうきゅうふ)とは、労働者が、業務上または通勤のときに死亡した場合に支給されるものです。なお、業務災害の場合には、「遺族補償給付(いぞくほしょうきゅうふ)」といい、通勤災害の場合には、「遺族給付(いぞくきゅうふ)」といいます。労働保険の遺族補償給付は「死亡の日の翌日より5年以内」に管轄の労働基準監督署へ請求する必要があります。

 

簡易保険金の請求

簡易保険(かんいほけん)は、郵政民営化以前に日本郵政公社が行っていた生命保険のことあり、正式名称は、「簡易生命保険(かんいせいめいほけん)」といいます。簡易保険は、「死亡の日の翌日より5年以内」に郵便局の窓口へ請求する必要があります。簡易保険は、契約の種類や受取人の指定の有無により必要な書類が変わってきますので、事前にご自身の契約の内容などをよく確認しましょう。

 

 

(期限は決まっていないが)すみやかに行うべきもの

印鑑登録書の抹消

印鑑登録証の返還

亡くなった方が印鑑登録をしていた場合には、その印鑑登録証をお住まいであった市区町村役場にすみやかに返却する必要があります。死亡届を提出することにより印鑑登録は自動で廃止される市区町村役場が多いです。そのため、印鑑登録証を返却すれば問題ありません。

 

住民基本台帳カードの返還

「住民基本台帳カード」とは、市区町村役場が発行する住民基本台帳を基にして発行するICカードであり、写真付きのカードは身分証明書とすることもでき、行政手続のインターネットでの申請に使用できるものです。この住民基本台帳カードの返却先は、亡くなった方が住んでいた市区町村役場です。最近はマイナンバーカードの発行により個人番号カードの交付を受けることができるようになりました。そのため、住民基本台帳カードの新規発行を平成27年12月末でやめている自治体も多いです。

 

遺言書の検認

亡くなった方によっては、遺言書を残している場合があります。この遺言書は公証人の下で作成した公正証書遺言や、遺言書の全文を自分で記載した自筆証書遺言、内容を秘密にしたままその遺言の「存在のみ」を証明してもらう秘密証書遺言など、いくつかの種類があります。

 

遺言書の検認(ゆいごんしょのけんにん)とは、公正証書遺言以外の遺言書の形式を調査および確認してもらうことです。そして、遺言者の最終住所地の管轄の家庭裁判所にその申立てを行い、この家庭裁判所からの通知が来た後に、検認期日に家庭裁判所にて相続人が立ち会いのもと検認手続きを行います。検認を行うまでに時間がかかることが想定されますので、できるだけすみやかに遺言書の検認の申立を行いましょう。

 

検認の目的は、遺言書の偽造や変造を防ぐことや確実に保存できるようにすることです。公正証書遺言以外の遺言書の場合には遺言書の改ざんなどの可能性があり、この検認の手続きを経なければ有効な遺言書とはならないため注意しましょう。また検認前に遺言書を開封してしまうと5万円以下の過料が科せられてしまいますので、あわせて注意しましょう。

 

運転免許証の返還

亡くなった方が運転免許証をもっていた場合には、すみやかに返却する必要があります。返却先は警察署または運転免許センターとなります。運転免許証はその持ち主がいなくなったため放置しても問題がないようにも思われますが、運転免許証は手続きとして返却することが建前とされています。実際のところは思い出や形見として残されている方もいらっしゃいます。

 

パスポートの返還

日本では4人に1人がパスポートを所持しています。亡くなった方がパスポートを持っていた場合には、すみやかに都道府県の旅券課(パスポートセンター)へ返却する必要があります。パスポートを残しておきたい遺族の方は、各都道府県庁の旅券課で使用できないように処理してもらうこともできます。

 

不動産の所有権移転登記(相続登記)の申請

土地や建物は不動産登記がされています。亡くなった方が不動産を所有していた場合には、相続人はその不動産の所有権移転登記の申請をすみやかに不動産の管轄する法務局へする必要があります。不動産の所有権移転登記が完了した後には、「登記識別情報通知」(とうきしきべつつうち)が発行されます。登記識別情報通知とは、昔でいうところの「登記済権利証」で、登記名義人を明白にするための情報が記載された書類です。大切に保管するようにしましょう。

 

銀行口座の名義変更

相続が発生すると、その亡くなった方の銀行口座の名義変更や解約が必要になります。相続に際しての預金口座の名義変更・解約には非常に多くのプロセスが必要です。各銀行の預金口座の存在を把握し、預金額を照会することからスタートします。口座に手をつけるには相続人全員の実印とその印鑑証明書が必要になるため、相続人が遠隔地に散らばっている場合にはその収集に手間がかかり、1人の相続人で手続きを完結させるのがなかなか難しい手続きです。

 

株式の名義変更

故人が株式などの有価証券を保有されている場合も考えられます。 株式というと、紙でできた株券を思い浮かべられる方もいらっしゃると思いますが、現在では上場会社の株式は電子化されており、株券が発行されている株式は限られています。有価証券に関する相続手続きは、主に株式の売買仲介を行っている証券会社を通じて行うことになります。株式の名義変更は、まず故人が持っていた株式口座の把握から始まり、銀行の預金口座の名義変更同様に手続きは煩雑なものとなります。

 

普通自動車の名義変更

亡くなった方が自動車を保有していた場合には、相続の手続きの一環として相続人へ名義変更をする必要があります。このとき、相続人が車の免許を持っていない場合、もしくは車をほとんど使用する予定がなく、亡くなった方の車を売却または廃車にするつもりであったとしても、亡くなった方名義では売却などすることはできないため、いったん相続人の名義にする必要がある点、注意してください。自動車の名義変更はナンバープレートを交付している陸運局(運輸支局または検査登録事務所)で行います。

 

自転車や小型二輪、原付など金銭的に価値のあるものは相続の対象となります。これらは遺産分割協議を行い、遺産分割協議書に記載しておきましょう。また、相続放棄を検討している場合には、下手に売却など財産の処分を行うと相続放棄ができなくなりますので特に注意が必要です。

 

電話加入権の名義変更

携帯電話の普及により固定電話を使用する方は少なくなっているかもしれませんが、それでも家に固定電話がある家が多いのではないでしょうか。そんな固定電話の電話回線についても名義が故人名義になっていた場合には、名義変更の手続きが必要になります。なお固定電話は「電話加入権(でんわかにゅうけん)」と呼ばれますが、現在の正式名称は「施設設置負担金(しせつせっちふたんきん)」と呼ばれます。

 

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執筆者: やさしい相続編集部