後見制度とは?

 

後見制度とは?

 

後見制度とは一人で十分に法律行為をできない人の代わりに、別の人が代わりに法律行為をすることでその人を助け、保護する制度です。助けられる人が被後見人、助ける人が後見人です。後見人には身近で信頼できる親族や友人、プロとして信頼できる弁護士、司法書士、社会福祉士などがよく選任されます。

 

 

2つの後見制度

後見制度には未成年後見成年後見の2種類があります。この2種類の後見制度は似ているようで制度の意味合いや要件が違います。

ここでは2種類の後見制度についてそれぞれ解説していきます。

 

 

未成年後見制度とは?

日本では20歳未満の人々は未成年として親の監督のもとにあります。社会経験が乏しいため、自分の財産関係に大きな影響を及ぼす法律行為(例えば、奨学金の借入)は親が代わりに行います。これを親権といいます。

では、不運なことに20歳に満たない子どもが両親と死別した場合はどうでしょう?この場合に親代わりとして身の回りの法律関係を処理してくれるのが未成年後見人です。

 

 

成年後見制度とは?

認知症や重度の知的障害、精神病などによって正常の判断能力に欠ける人がいます。そんな人のためにその人の財産を管理し、適切に法律行為を行ってくれるのが 成年後見人 です。

 

成年後見制度には法定後見制度任意後見制度の2種類があります。

 

認知症になってから利用される、法定後見制度

「高齢の母親がすぐにもバレそうなオレオレ詐欺に遭った。認知症も進んでいるし、高額商品を売りつけに来る業者にも騙されそう…」

 

こんな時にこのご高齢のお母さんの代わりに交渉をして、きちんとした契約を結んだり、その他の法律行為をしてくれるのが後見人であり、法定後見制度 です。

 

 

認知症になる前に利用される、任意後見制度

今は大丈夫でも自分がいつか認知症になるかもしれない。けれど、認知症になった後で自分や周りが後見制度を始めるよう請求してくれるか定かでない・・・こんな「もしも」のときのために利用できるのが任意後見制度です。

 

任意後見制度は、将来自分の判断能力が低下することに備えて、あらかじめ自分の後見人になってくれる人と契約を結び、実際に自分の判断能力が低下したら、契約を結んだ人が自主的に家庭裁判所に後見開始の請求をし、家庭裁判所の判断を経て後見人になるというもので、近年利用者が増加しています。

 

 

相続時に後見制度を利用するべき3つのケース

 

3つのポイント

〈ケース1〉 相続人が未成年である場合

未成年は相続できない?

そんなことはありません。子どもであっても、そもそも胎児であっても相続人の地位(亡くなった方の子どもであること)さえあれば相続をすることはできます。けれど、周囲のオトナ達がどんどん話を進めていって、本当は自分がもらえるはずの財産がもらえない・・・なんていう事もありえますよね。こんな事態を予防し、またはすでに起こってしまった状態から自分の権利を回復してもらうため未成年後見制度を利用しましょう。

 

未成年後見人を選任するには?

未成年者に対して親権を行使するものがいなくなったら、その未成年者、未成年者の親族、その他の利害関係人が家庭裁判所に請求することによって未成年後見人をつけてもらえるかどうか決めてもらえます。

 

未成年後見開始の手続きに必要な書類

 

未成年後見人の選任申し立てに必要な書類は以下の通りです。

  • 申請書
  • 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 未成年者の住民票又は戸籍附票
  • 未成年後見人候補者の戸籍謄本(全部事項証明書)(*)
  • 未成年者に対して親権を行うものがないこと等を証する書面(親権者の死亡の記載された戸籍(除籍,改製原戸籍)の謄本(全部事項証明書)や行方不明の事実を証する書類等)
  • 未成年者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書),預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写 し,残高証明書等)等)
  • 利害関係人からの申立ての場合,利害関係を証する資料
  • 親族からの申立ての場合,戸籍謄本(全部事項証明書)等

(*)後見人候補者が法人の場合は,当該法人の商業登記簿謄本

 

未成年後見開始の手続きに必要な費用

 

申し立てに必要な書類は以下の通りです。

  • 収入印紙800円分(未成年者1人につき)
  • 連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。なお,各裁判所のウェブサイトの「裁判手続を利用する方へ」中に掲載されている場合もあります。)

 

 

〈ケース2〉 相続人が認知症である場合

認知症だと相続できない?

 

そんなことはありません。

権利能力を有しているから相続人の地位さえあれば相続できます。けれど、認知症の症状によって周りの親類縁者が言うことをうまく理解できず、何でも「はい、はい」と言っていたら本来もらえるはずの財産を横取りされてしまった・・・なんてことも!

成年後見人は、そんな相続権を主張する親類縁者と交渉し、権利主張することであなたの権利を守ってくれます。また、あなたが日常生活を送るのに必要な財産管理をしてくれます。

 

法定後見人を選任するには?

認知症や重度の知的障害、精神病などによって事理弁識能力を欠く状況にある人について、その人自身、配偶者、四親等内親族、未成年後見人、検察官などが家庭裁判所に請求することで、後見人をつけてもらえるかどうか決めてもらえます。

 

法定後見開始の手続きに必要な書類

 

法定後見人の選任申し立てに必要な書類は以下の通りです。

  • 申立書
  • 本人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 本人の住民票又は戸籍附票
  • 成年後見人候補者の住民票又は戸籍附票(*)
  • 本人の診断書(家庭裁判所が定める様式のもの)
  • 本人の成年後見等に関する登記がされていないことの証明書
  • 本人の財産に関する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)
  • 預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し,残高証明書等)等)

(*)成年後見人候補者が法人の場合には当該法人の商業登記簿謄本

 

法定後見開始の手続きに必要な費用

 

法定後見人の選任申し立てに必要な費用は以下の通りです。

  • 申立手数料 収入印紙800円分
  • 連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。なお,各裁判所のウェブサイトの「裁判手続を利用する方へ」中に掲載されている場合もあります。)
  • 登記手数料 収入印紙2600円分(既に登記印紙2600円分をお持ちの方は,当分の間,それによって納付していただくこともできます。)

 

※ 後見開始の審判をするには,本人の精神の状況について鑑定をしなければならない場合がありますので,申立人にこの鑑定に要する費用を負担していただくことがあります。

 

〈ケース3〉 自分が認知症になる可能性に備える場合

 

今は大丈夫でも自分がいつか認知症になるかもしれない。けれど、認知症になった後で自分や周りが後見制度を始めるよう請求してくれるか定かでない・・・。このような将来の不安を解消するために、あらかじめ任意後見人を選任しておきましょう。後見人の仕事は別途家庭裁判所が選任する後見監督人がチェックしてくれるので安心です。

 

任意後見人を選任するには?

将来、自分の判断能力が低下した場合に後見人になってくれる人と任意後見契約を結びます。この契約は一定の要件を備えた公正証書によって結ぶ必要があり、かつ後見登記制度によって一定の事項を 登記 する必要があります。任意後見制度を結んだ後、いつかあなたが認知症になったり判断能力が低下したりするときがやってきます。その時に、契約をした相手方が家庭裁判所に 後見開始の審判 を申し立て、あなたの後見人になってくれます。

 

任意後見制度の利用にかかる費用

 

任意後見制度の利用にかかる費用は以下の通りです。

  • 公正証書作成の基本手数料 1万1,000円
  • 登記嘱託手数料 1,400円
  • 登記所に納付する手数料 収入印紙2,600円

そのほかにも公証人出張代、当事者に交付する正本等の証書代、登記嘱託書郵送代等がかかる場合があります。

 

後見制度って自分で買い物にも行けなくなるの?

ご安心ください。普段使いの日用品を買ったり趣味の活動をするような支出は自分でできます。

自分の持っている土地を売り渡す、高額保険契約を結ぶなど、普段しない行為をしてしまったときに、それらの行為を取り消す(つまり、なかったものとする)ことができるようになるだけなので、後見制度を利用しようとする人の不利にはなりません。

 

 

後見制度の基礎知識のまとめ

 

専門家の解説

超高齢社会に突入しつつある日本では誰しも認知症になるリスクを抱えています。同時にそんな判断能力の低下したお年寄りを食い物にしようと企む悪い人も大勢います。そんな人たちから自分のため、そして残される家族親族のために財産を守ることができるのはあなた自身です。

 

予測できない将来のために、任意後見人を選任しておきましょう。また、すでに後見人を選任できる(かもしれない人)は親類や専門家に相談してみましょう。

執筆者: やさしい相続編集部