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専門家がおすすめする公正証書遺言ですが、この公正証書遺言の作成には一定の手続きを踏むことが必要となります。そこで、ここでは、公正証書遺言の作り方と、その際に必要となる書類や費用について、くわしく解説していきます。

公正証書遺言とは?

公正証書遺言とは?

遺言書にはいくつかの種類がありますが、その中でも専門家が最もおすすめする遺言書が公正証書遺言です。

 

公正証書遺言は、遺言者が口述した内容をもとに、法律のプロである公証人が作成する遺言書です。公正証書遺言はプロが作成する遺言書であるため、形式上の不備がほとんどなく、せっかく作成した遺言書が無効になってしまう危険が低いことが特徴です。

 

そのため、弁護士などの専門家が公正証書遺言の作成を推奨しているのです。

 

【関連記事】遺言書が無効に!?自筆証書遺言が無効になる9つのケース

 

 

公証役場・公証人とは?

公正証書遺言を作成する公証役場と公証人とは?

公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成します。健康上などの理由で遺言者が公証役場まで出向けない場合には、公証人に出張を依頼することも可能です。

 

公証役場は、日本全国に約300箇所ほど存在している国の役所です。そして、公証役場に設置されている公証人は、法務省出身者で主に構成されており、いわば法律のプロとも呼べる役人です。

 

 

公正証書遺言の作成の流れ

公正証書遺言の作成の流れ

公正証書遺言は、次の流れで作成していきます。

  1. 公正証書遺言を使って実現したいことを決める
  2. 公正証書遺言の作成に必要な書類などを準備する
  3. 公証人と事前に打ち合わせを行う
  4. 公正証書遺言を作成する当日の手続き
  5. 公正証書遺言を保管する

ここからは、これらの手続きを1つずつみていきましょう。

 

 

〈ステップ1〉公正証書遺言を使って実現したいことを決める

公正証書遺言を使って実現したい内容を決める

遺言書を使えば、非常にたくさんのことができるようになります。その中から、遺言者ご自身が公正証書遺言を作成することによって実現したいことを決め、公正証書遺言の作成に臨むことが大切です。

 

公正証書遺言を使ってできることは、主に次の7つです。

  1. 遺贈を行うことができる
  2. 相続する遺産の割合を指定できる
  3. 遺産分割の方法を指定または委託できる
  4. 相続人の廃除ができる
  5. 遺言執行者を指定できる
  6. 子どもを認知できる
  7. 未成年後見人を指定できる

 

 

1 遺贈を行うことができる

公正証書遺言を利用すれば、遺贈を行うことができる

公正証書遺言を使うと、相続人以外の人に財産を引き継ぐことができます。これを遺贈といいます。通常の相続ですと、財産は相続人が引き継ぐことになりますが、公正証書遺言を使うと、遺言者が自分の財産を譲りたい人に財産を引き継がせることができるのです。

第九百六十四条
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。

【関連記事】遺言書の効力とは?遺言書を使うとできる7つのこと

 

 

2.相続する遺産の割合を指定できる

通常、各相続人が相続する財産は、法律で決められた通りの割合で分配されます。公正証書遺言を使うと、基本的に遺言者の思い通りの割合で財産を分配することができます。

第九百二条
被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。

 

各相続人が遺産を相続できる割合のくわしい解説は「相続財産のすべて-やさしい相続マニュアル」をご参照ください。

【関連記事】遺言書の効力とは?遺言書を使うとできる7つのこと

 

 

3.遺産分割の方法を指定またはその指定を委託できる

公正証書遺言を利用すれば、各相続人が相続する遺産の割合を指定することができる

実は、各相続人が具体的にどの財産を引き継ぐのかは、相続人全員の話し合いで決定されます。この話し合いを遺産分割といいます。

九百七条
共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。

【関連記事】遺産分割・遺産分割協議ののすべて-やさしい相続マニュアル

 

しかし、公正証書遺言を使うと、各相続人が相続する財産を具体的に指定することができます。

 

 

4.相続人の廃除ができる

公正証書遺言を利用すれば、相続人の廃除できる

財産を相続させたくない相続人がいる場合に、一定の条件を満たすことで、その相続人から相続する権利を剥奪することができます。これを相続人の廃除といいます。相続人の廃除は、遺言書を使わなくても行えますが、遺言書を使って行うことも可能です。

第八百九十三条
被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

 

 

5.遺言執行者を指定できる

公正証書遺言を利用すると、遺言執行者を指定することができる

遺言者は、遺言書の内容が実現するかどうかを確認することができません。そこで、遺言書の内容を確実に実現するために、遺言執行者が指定・選任されます。

 

遺言執行者とは、遺言書の内容の実現を託された、いわばエージェントのような存在であり、公正証書遺言を利用することで、この遺言執行者を指定することができます。

第千六条
遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。

【関連記事】遺言執行者とは?遺言執行者の選任の方法や職務・報酬まとめ

 

 

6.子どもを認知できる

公正証書遺言を利用すれば、子どもを認知できる

認知とは、法律上の婚姻関係によらず生まれた子を、自分の子だと認める行為です。遺言書によらずとも認知することができますが、遺言書を使って行うこともできます。

第七百八十一条
認知は、遺言によっても、することができる。

【関連記事】遺言書の効力とは?遺言書を使うとできる7つのこと

 

 

7.未成年後見人を指定する

公正証書遺言を利用すれば、未成年後見人を指定できる

公正証書遺言を使えば、遺言者の死後にその子どもの面倒をみる未成年後見人を指定することができます。

第八百三十九条
未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。

【関連記事】後見人とは?相続時に利用すべき後見制度の基礎知識

 

 

遺言書の内容は弁護士などと相談して決めるのがよい

公正証書遺言の内容は、弁護士などの専門家と協議して決めるのがよい

公正証書遺言を使って実現したい内容は、遺言者ご本人の状況を踏まえつつ、弁護士などの専門家と協議しながら決めるのがよいでしょう。そうすることで、柔軟かつ具体的に遺言者に記載する内容を決めることができ、実際に公正証書遺言を作成する場面でもスムースに手続きを進めることができます。

 

 

〈ステップ2〉公正証書遺言の作成に必要な書類などを集める

公正証書遺言の作成に必要な書類などを収集する

公正証書遺言で実現したいことが決まったら、次はその作成に必要な書類などを準備しましょう。

 

公正証書遺言を作成する際の必要書類

公正証書遺言の作成には、さまざまな書類が必要になります。

 

【公正証書遺言の作成に必要な書類】

  1. 遺言者ご本人の印鑑登録証明書
  2. 遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本
  3. 遺贈を受ける人の氏名・生年月日などがわかる書類
  4. 財産の一覧表
  5. 不動産の登記簿謄本と固定資産評価証明書

 

1.遺言者ご本人の印鑑登録証明書

公正証書遺言の作成にあたっては、遺言者の実印の印鑑登録証明書が必要

公正証書遺言の作成には、遺言者ご本人の実印での押印が必要となります。実印であることを証明するため、その実印の印鑑登録証明書(印鑑証明)が必要となります。

 

 

印鑑登録証明書の入手方法

印鑑登録が既にお済みであれば、印鑑登録証明書は市区町村役場で簡単に入手することができます。また、住民基本台帳カードがあれば、コンビニでも発行することができます。なお、印鑑登録証明書の発行の際には、数百円程度の手数料がかかります。

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2.遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本

公正証書遺言の作成にあたっては、遺言者の実印の印鑑登録証明書が必要

相続人に遺産を相続させる場合には、まずは相続人が誰であるのかを確定させなければなりません。また、相続人になる人は、配偶者や子供など、法律で定められています。

 

そのため、相続人に遺産を相続させるにあたっては、遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本を用意し、相続人を確定させる必要があるのです。

 

 

戸籍謄本の入手方法

居住地の市区町村役場でも入手が可能な住民票とは異なり、戸籍謄本は本籍地の市区町村役場でしか入手することができません。これまでは、ご本人やその代理人が本籍地の市区町村役場の窓口で手続きをすることが主流でしたが、現在では郵送で手続きを行い、戸籍謄本を取り寄せることができます。

 

お仕事などで平日の日中に手続きできない、あるいは住所地と本籍地が異なる場合には、郵送で手続きするようにしましょう。なお、戸籍謄本の発行には数百円程度の手数料がかかります。郵送での手続きの詳細は、本籍地の役所のホームページをご参照ください。

 

 

3.遺贈を受ける人の氏名などがわかる書類

公正証書遺言の作成には、受遺者の氏名等がわかる書類が必要

公正証書遺言で、相続人以外の人に財産を遺贈する場合には、遺贈を受ける人が誰なのかを特定できなければなりません。

 

そのため、その場合には、遺贈を受ける人の住民票など、その人の氏名・生年月日・住所がわかる書類が必要になります。なお、住民票を発行する際には、数百円程度の手数料がかかります。

 

遺贈のくわしい解説は「遺言書の効力とは?遺言書を使うとできる7つのこと」をご参照ください。

 

 

4.財産の一覧表

公正証書遺言の作成には、財産の一覧表が必要

公正証書遺言で特定の財産を相続させる、あるいは遺贈する場合には、どのような財産があるのかを確定させなければなりません。

 

そこで必要になるのが財産の一覧表です。この財産の一覧表には決まった形式はありませんが、できる限り具体的に記載するようにしましょう。

 

たとえば、相続・遺贈の対象となる財産が銀行預金の場合、単に「預金」と記載するのではなく、銀行名・支店名・口座番号といった情報を財産の一覧表に記載しておくことで、公正証書遺言の作成をスムーズに進めることができます。

 

 

5.不動産の登記簿謄本と固定資産評価証明書

公正証書遺言の作成には、不動産の登記簿謄本と不動産価値評価証明書が必要

対象となる財産に不動産が含まれる場合には、不動産の登記簿謄本固定資産評価証明書が必要となります。

 

 

不動産の登記簿謄本の入手方法

不昔は不動産の登記簿謄本の入手というと、その不動産の所在地の法務局で手続きしなければなりませんでした。しかし、現在では全国のどの法務局で発行することが可能ですから、まずはお近くの法務局までお問合せください。なお、不動産登記簿謄本の発行には数百円程度の手数料がかかります。

 

 

固定資産評価証明書の入手方法

固定資産評価証明書は、不動産にかかる税金を計算するための根拠となる情報が記載されている書類です。固定資産評価証明書は、不動産を管轄する市区町村役場で入手することができます。また、郵送での問い合わせも可能です。なお、固定資産評価証明書の発行には数百円程度の手数料がかかります。

 

 

必要書類を集める際の注意事項

公正証書遺言の作成に必要な書類を集める際の注意事項

印鑑登録証明書などは、発行から3ヶ月以内に発行されたものでなければいけません。そのため、発行から3ヶ月以上が経過した書類は、公正証書遺言の作成には利用できませんから、ご注意ください。

 

 

2人の証人

公正証書遺言の作成の際に必要となる2人の証人

公正証書遺言の作成には2人の証人が必要ですから、あらかじめ証人となる人を用意する必要があります。ただし、未成年者や推定相続人(相続人になる人)、受遺者(受遺を受ける人)、被後見人や被保佐人などは証人になることができません。

第九百七十四条
次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。

未成年者
推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

 

 

弁護士などに証人を依頼できる

公正証書遺言の作成に必要な証人は弁護士などの専門家に依頼が可能

公正証書遺言を作成するのに必要な証人は、弁護士などの専門家に依頼することができます。公正証書遺言を使って実現したいことを決める際に利用した専門家がいる場合には、その専門家にそのまま依頼するのがよいでしょう。

 

公証役場で証人を紹介してもらえる

公正証書遺言は公証役場で作成することになりますが、実は公証役場で証人となる人を紹介してもらえます。ただし、そこで紹介された人が証人となった場合、その証人に遺言書の内容を知られることになりますから、その点は注意する必要があります。

 

その他に準備するもの

書類や証人の他に準備が必要なものは次の通りです。

  • 遺言者ご本人の実印
  • 証人の認印(シヤチハタは不可)

 

 

〈ステップ3〉公証人と事前に打ち合わせを行う

公正証書遺言の作成前に、公証人と打ち合わせを行う

公正証書遺言を実際に作成する前に、その内容について公証人と打ち合わせを行います。この打ち合わせの際に、戸籍謄本などの必要書類を提出した上で、どのような内容の遺言書にするかを公証人と協議します。

 

実際には、この打ち合わせの時点で公正証書遺言の文面は完成します。

第九百六十九条
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

証人二人以上の立会いがあること。
遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。

〈ステップ4〉公正証書遺言の作成当日の流れ

公正証書遺言を作成する当日の流れ

作成当日は、遺言者の他、証人2人も同席の上、手続きが行われます。

 

公証人は、既に完成している公正証書遺言の文面を、遺言者、証人2人の前で読み上げます。その内容に遺言者と証人が同意したら、署名捺印します。そして、公証人が署名捺印をすると、公正証書遺言は完成です。

第九百六十九条
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

 

 

〈ステップ5〉公正証書遺言の保管

公正証書遺言には、内容が同じ原本・正本・謄本の3つが同時に存在し、原本は公証役場が、正本は遺言執行者(一般的には遺言書の作成に携わった専門家)が、謄本は遺言者あるいはそのご家族が保管します。

 

このように、内容が同じ遺言書を三者がそれぞれ保管するため、公正証書遺言には紛失のおそれがありません

 

 

公正証書遺言の作成にかかる費用

公正証書遺言の作成にかかる費用

公正証書遺言の作成には次の費用がかかります。

  1. 公正証書遺言の作成手数料
  2. 証人に支払う日当
  3. 必要書類の発行手数料

 

 

1.公正証書遺言の作成手数料

公正証書遺言の作成手数料は、遺言書に記載する財産の合計額によって決まります。

 

【遺言書に書く財産の合計額 / 手数料】

100万円まで / 5,000円

200万円まで / 7,000円

500万円まで / 11,000円

1,000万円まで / 17,000円

3,000万円まで / 23,000円

5,000万円まで / 29,000円

1億円まで / 43,000円

 

※手数料は財産を譲り受ける人ごとに計算し、合計します。

※財産の総額が1億円未満の場合は、11,000円加算されます。

 

2.証人に支払う日当

遺言者ご本人が証人を見つけて来られた場合には必要ありませんが、相場としては証人1人あたり10,000円~15,000円程度です。

 

3.必要書類の発行手数料

必要書類の発行には手数料がかかります。発行手数料は1枚当たり数百円程度です。

 

 

この記事のまとめ

公正証書遺言の作り方・必要書類・費用に関する専門家の見解

いかがでしたか?この記事では、公正証書遺言を作成する際の手続きの流れや必要書類、費用をくわしく説明してきました。みなさんが公正証書遺言を作る際のご参考になれば幸いです。

 

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執筆者: やさしい相続編集部