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相続放棄の手続きの1歩目には、大きな落とし穴が潜んでいます。

それは、故人の遺産(相続財産といいます)から葬儀費用を支払うと、相続放棄ができなくなってしまう危険があることです。

相続放棄を予定していながら、葬儀費用を支払ったばかりに相続放棄できなくなってしまうのは、大きな落とし穴といえるでしょう。

そこで、ここでは、そんな落とし穴にはまらないために、葬儀費用と相続放棄の関係について、くわしく説明していきます。

そもそも相続放棄とは

そもそも相続放棄とは、正の遺産も負の遺産も引き継がない、相続の方法のひとつです。

相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産も相続しない方法です。

そのため、相続放棄は、相続財産が借金などのマイナスの財産ばかりのケースで通常選択されます。

第九百三十九条
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

 

相続財産を処分すると相続放棄できない

遺産を処分すると相続放棄は不可能

相続放棄を選択するには、いくつかの条件がありますが、その1つが「相続財産を処分しないこと」です。

相続財産を処分すると、単純承認を選択したものとみなされ、相続放棄を選択できなくなってしまいます。

第九百二十一条
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

 

単純承認とは

単純承認・限定承認・相続放棄の3つの相続方法のうち、単純承認とは

単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐ、という相続の方法です。

単純承認を選択すると、たとえ相続財産が借金ばかりであっても、その借金をすべて相続しなければなりません。

第九百二十条
相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

 

単純承認の具体例

たとえば、相続財産が次のようなケースを考えてみましょう。

 

【相続財産の内訳】

  • 現金:100万円
  • 借金:300万円

 

このケースでは、相続人が単純承認を選択すると、現金100万円を相続するだけでなく、同時に借金300万円も相続してしまい、相続人は自らの財産から不足額200万円を捻出しなければなりません。

 

 

葬儀費用の支払いは「相続財産の処分」か

葬儀費用の支払いは相続財産の処分に含まれるのでしょうか?葬儀費用の支払いは相続財産の処分に含まれるのでしょうか?葬儀費用の支払いは相続財産の処分に含まれるのでしょうか?

相続財産から葬儀費用を支払うことが「相続財産の処分」に該当すれば、相続人は単純承認を選択したものとみなされ、相続放棄をすることができません。

つまり、「遺産の中から葬儀費用を支払うこと」が「相続財産の処分」に該当するかどうかが問題になるのです。

この問題について、明らかな規定は法律上存在しませんが、過去の判例では、

 

「葬儀費用を支払うことは道義上必然であるため、葬儀費用の支払いが一概に相続財産の処分に該当するとはいえない」

 

とされており、現在でもそのように解釈されています。

東京控昭11・9・21判決
「葬式費用ニ相続財産ヲ支出スルカ如キハ道義 上必然ノ所為」

大阪高等裁判所平成14年7月3日決定
ア 葬儀は、人生最後の儀式として執り行われるものであり、社会的儀式として必要性が高いものである。そして、その時期を予想することは困難であり、葬儀を執り行うためには、必ず相当額の支出を伴うものである。これらの点からすれば、被相続人に相続財産があるときは、それをもって被相続人の葬儀費用に充当しても社会的見地から不当なものとはいえない。また、相続財産があるにもかかわらず、これを使用することが許されず、相続人らに資力がないため被相続人の葬儀を執り行うことができないとすれば、むしろ非常識な結果といわざるを得ないものである。したがって、相続財産から葬儀費用を支出する行為は、法定単純承認たる「相続財産の処分」には当たらないというべきである。

葬儀費用なら、いくらでも認められるのか

葬儀費用にはいくらでもかけてよいのか葬儀費用にはいくらでもかけてよいのか

葬儀費用が相続財産の処分に該当しないからといって、必要以上に豪華な葬儀を執り行った場合でも、相続放棄は認められるのでしょうか?

この点についても、法律で明確に定められてはいませんが、社会的に相応と考えられる必要最低限の支出であれば、相続財産の処分には該当しないと解釈されています。

 

 

社会的に相応と考えられる金額とは

具体的な葬儀費用の基準はいくら?

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社会的に相応と考えられる葬儀費用の金額について、法律に明確な規定はありません

ですが、葬儀費用に数百万円もかけてしまうと、社会的に相応であると考えることは難しいのは明らかです。

もちろん、各ご家庭で状況は異なりますから、100万円未満が一応の目安と考えてよいでしょう。

 

 

まずは香典・弔慰金を葬儀費用に充てる

葬儀費用には、まず香典・弔慰金から充当する

葬儀を執り行うと、参列者から香典や弔慰金を受け取ることが多いでしょう。一般的に、香典や弔慰金は死者の霊前に供える金銭ですが、

 

「葬儀で出費がかさむだろうから」

 

というような、ご遺族へ向けた助け合いの意味も込められた金銭です。

そのため、まずは、この香典や弔慰金から葬儀費用を捻出すべきです。そして、その不足額がある場合に、相続財産から工面するようにしましょう。

でないと、相続財産を処分したと判断され、相続放棄できなくなりかねませんので、注意が必要です。

 

 

ご不安な場合は専門家に相談を

葬儀費用支払時の相続放棄の可否についてお困りの方は、専門家にご相談を葬儀費用を相続財産から支払った場合でも、相続放棄が可能かについては、法律で明文化されていませんから、解釈の問題にならざるを得ません。

また、ご事情はご家庭ごとに様々ですから、すべての事案を一律に判断することはできません。

そのため、相続放棄できるか心配な方は、弁護士などの専門家に一度相談してみましょう。

 

 

相続放棄は早めに手続きを

相続放棄にはタイムリミットがあるので要注意

相続放棄で問題なるのは、相続財産の処分だけではありません。
実は、相続放棄には守らなければならない期限があるのです。

 

 

相続放棄の期限とは

相続放棄には、手続き期限があります。

相続財産を処分すると相続放棄ができなくなるのと同様に、相続放棄の手続き期限を過ぎると、相続放棄を選択できなくなってしまいます

第九百二十一条
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

 

 

相続放棄の期限は3ヶ月

相続放棄の期限は、相続人が自己の為に相続が開始したことを知ってから3か月間である

相続放棄は、自己のために相続が始まったことを知った日から3ヶ月以内に手続きをしなければなりません。

この3ヶ月を越えると、葬儀費用の問題を回避したとしても、相続放棄を選択できなくなってしまいますので、注意が必要です。

第九百十五条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

 

【関連記事】相続放棄時に注意すべき6つのポイント~やさしい相続の基礎知識~

 

 

この記事のまとめ

専門家の見解

いかがでしたか?

葬儀費用を遺産から支払うと、相続放棄できなくなってしまう危険があります。相続放棄を選択できないと、身に覚えのない借金を背負う羽目になるかもしれません。

こうした事態を回避するためにも、事前にしっかりと知識を蓄えて、相続に臨みましょう。

 

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執筆者: やさしい相続編集部