東京都小金井市の元市議会議員の男性(2014年10月死去)の相続財産をめぐって、東京国税局が13億円の遺産隠しを指摘していたことがわかった。遺族には、重加算税を含めて約8億円が追徴課税されたとみられる。

 

報道によると、男性は死去する約5ヶ月前に、所有していた土地をマンション開発会社に約22億円で売却する契約を結んでいた。売買契約の締結後に売主が亡くなった場合、土地の引き渡し前であっても、売買代金の金額にもとづいて相続税が課される。

 

しかし登記簿には、死去の2日前に売買契約を解除した旨が記録されていた。遺族は土地を相続し、相続財産として土地の評価額である約9億円を申告した。国税局は、遺族が相続税の金額を下げるために、日付をさかのぼって登記を行ったと判断し、評価額と売買代金の差額13億円を遺産隠しとして指摘した模様だ。

 

今回の事例では、申告漏れや計算間違いの際に課される「無申告加算税」や「過少申告加算税」ではなく、故意に相続財産を隠した場合に課される「重加算税」が課されており、いわゆる脱税と認定されたと考えられる。

 

税務当局に「形式的なルール準拠」は通用しない

書類の上では死去前に契約解除したことになっていても、税務当局が遺族の主張を額面通りに受け入れるとは限らない。今回の事例からわかるように、税務当局は「相続の実態」という観点で突っ込みどころがないか目を光らせ、申告の妥当性を判断する。簡単にいえば「取れるところから、取れるだけ税金を取る」ということだ。

 

相続税対策は大切だが、小手先の対策ではかえって疑いの目を向けられ、不正と判断されてしまう可能性もある。悪意はなくとも、うっかりの申告漏れで追徴課税を受ける可能性は誰にでもある。前もって財産を棚卸ししておくなど、実態ベースでルールに沿った相続手続きを進められるよう、十分に準備しておきたい。

執筆者: やさしい相続編集部