亡くなった人に身寄りがなく、相続人がいない遺産が国の財産になるケースが増えている。国庫に納められた遺産は、2015年度に420億円となり、10年前と比べて2.5倍に増加した。未婚率の上昇や少子高齢化により、遺産の受け取り手がいないケースは今後も増えると予想される。

 

国勢調査のデータをもとに算出される「生涯未婚率」は、1990年には男女ともに5%前後だったが、その後急速に上昇し、2015年には男性23.37%、女性14.06%となった。未婚率の上昇にともない、受け取り手のいない遺産が増加している。また、社会の高齢化が進み、相続人となる配偶者や子、兄弟・姉妹など親族がすでに亡くなっているというケースもある。

 

相続人がいても、相続放棄によって遺産が国庫に納められるケースもある。相続人も故人の財産を把握しておらず、借金などがあっては困るという理由で予防的に相続放棄を選ぶケースだ。親戚づきあいがなく、代襲相続などで相続人としての認識が薄い場合には、死亡を知ってから財産の全容を把握するのはなかなか難しい。

 

法定相続人となる親族がおらず、財産が国のものになってしまった場合、必ずしも有効活用されるとは限らない。故人の価値観に沿って役立ててほしいという場合には、遺言書によって個人や団体など寄附(遺贈)する先を指定して遺産の活かし方を決めておけば安心だ。「遺言信託」という方法を利用し、信頼できる人に財産管理を託すこともできる。亡くなった後、自分の財産をどのように処分すればよいのか、今のうちからきちんと考えておきたい。

 

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執筆者: やさしい相続編集部