最高裁判所は1月31日、相続税の節税を目的とした養子縁組を有効とする判決を言い渡した。節税目的の養子縁組は、相続税の課税対象となる富裕層を中心に行われているとされるが、これを有効とする判断を最高裁判所が示すのは初めてのことだ。

 

養子縁組には「縁組の意思」(親子関係を結ぶ意思)が必要で、節税のみを目的とした縁組は認められていない。今回の判決では、節税の動機と「縁組の意思」が同時に存在することは可能であると指摘し、節税の動機があったからといってただちに「縁組の意思」がないとはいえないと判断した。

 

相続人を増やせば基礎控除額の増額で節税に

2015年の税制改正によって相続税が実質的に増税となり、節税対策への関心が高まっている。「5000万円+1000万円×法定相続人数」だった改正前の基礎控除が「3000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げられ、相続税を収める必要のなかった人も課税対象に含まれるようになったからだ。

 

養子縁組によって相続人が増えると、それだけ相続税を節税することができる。養子縁組の目的は人それぞれであり、節税のための養子縁組の件数は明らかでないが、富裕層の間では決して少なくないといわれている。相続税への関心の高まりを受け、今後は同様のケースが増加する可能性がある。

 

リスクもよく考えて

養子縁組には相続税の節税というメリットは確かにあるが、ほかの相続人の取り分が変わるため、遺産分割協議の際にトラブルの火種になるリスクがある。養子縁組をする際には、家族・親族への感情面の配慮が望ましい。また、遺産額によっては計画的な生前贈与や保険の活用などの対策のほうが有効な場合がある。今回の最高裁の判決は「節税目的の養子縁組は直ちに無効とはいえない」としており、節税を常に有効としたわけではないことにも注意が必要で、今後の動向を注視する必要がある。

 

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執筆者: やさしい相続編集部